産後数カ月経ってから急に痛くなる膝の痛み。
当院にいらっしゃる患者様は両膝の痛みを訴えることが多いです。
今まで膝なんて痛くなったことないのに・・・
と、心配される方も。
しゃがむ、立ちあがる、抱っこでの縦揺れ、階段の昇降などでの痛む膝。
今回はそんな膝の痛みについて分析したいと思います。
なぜ産後に突然膝が痛くなるの?
①赤ちゃんのお世話
赤ちゃんが産まれると、お世話をするために膝関節の屈伸動作が極端に増えますよね。
妊娠中に安静を保つためにそんなに動いていなかったママなら、なおさら膝周りの筋肉が弱っていることがあります。
その筋肉量に対して、それ以上の動作を行うと膝関節に負担がかかってしまい、痛みとして出てきてしまうことがあります。
②体重の増加
妊娠をしたことにより極端に動かなくなると体重が増加しすぎてしまうケースは多くあります。
体重の増加はかなり膝関節に負担をかけます。
体重が急激に増えたうえに、育児によるしゃがんだり立ちあがったりなどの動作が増えれば膝関節への負担はより多くなってしまうのです。
③骨盤の歪み
妊娠や出産で骨盤が歪みやすくなるということはよく言いますよね。
出産時は赤ちゃんを外に出すためにホルモンの影響で骨盤周りの靭帯が緩みます。
靭帯が元通りになるまでには約6ヶ月かかると言われており、その間に骨盤が歪みやすくなってしまうのです。
骨盤が歪むと膝以外にも身体のありとあらゆるところに不具合が出てきます。
身体の真ん中に位置し、脊椎(背骨)の土台であり下肢の付け根にもなる骨盤。
その骨盤が歪んでしまうと身体のありとあらゆる場所の痛みに繋がってしまいます。
今回取り上げた膝の痛みに関しては、女性は骨盤が前傾し膝が内に入る内股になりやすい傾向にあるため、年齢を重ねてから膝を痛めやすいのも女性です。
もし膝が痛くなってしまったら
まず、出産後避けられないのは赤ちゃんのお世話ですよね。
先ほどもあげたように出産前と比べるとどうしても多くなる膝の屈伸運動。
この筋肉を鍛えて膝への負担を軽減させてあげましょう!
①大腿四頭筋(太ももの前)
1.足を伸ばして座ります。
2.膝の下に丸めたバスタオルを置きます。
3.そのタオルを押しつぶすように膝を伸ばしてください。
これを毎日10回×3セット行いましょう。
もしこの動作で膝に痛みが出るようであれば中止してください。
②骨盤を整える(1)
1.まず仰向けで寝て、腰の反り具合などの感覚を確認して下さい。
2.次に1度起き上がり、バスタオルを2枚重ね丸めたものを腰の上あたりに当てます。
3.タオルを当てたまま仰向けで寝ころび、バンザイをして背中を伸ばしましょう。(2分)
4.バスタオルを抜いて、ストレッチをする前との感覚の違いを感じてみてください。
③骨盤を整える(2)
1.仰向けで寝て、腰の反り具合などの感覚を確認して下さい。
2.膝を立てお尻を持ち上げます。
3.脊椎を下にたどっていくとある仙骨の下にタオルを置きます。
4.お尻を下ろし、足を伸ばしましょう。(1分)
5.バスタオルを抜いてストレッチをする前との感覚の違いを感じてみてください。
*これらの骨盤を整えるストレッチは、少し硬めの床で行うようにしてください。
柔らかい布団の上などで行うと沈み込んでしまうため効果が半減してしまいます。
予防はできるの?
膝の痛みは生活していくうえでもかなり負担になりますよね。
子育て中であればなおさらかもしれません。
そんなまだ痛みの出ていない方や、痛みの無くなった方に予防策としてやっていただきたいトレーニングを1つご紹介いたします。
スクワット
1.足を骨盤の幅、もしくはそれより少し広めに開きます。
かかとに体重を乗せ、足の指で地面を捉えるように立ちましょう。
2.膝がつま先より前に出ないように注意しながらお尻を後ろに突き出し膝を曲げていきます。
3.理想は太ももの骨が床と平行になるくらいまで腰を落としたいのですが降ろしていく段階でお尻から裏ももにかけて張るような感じが出たら立ち上がってください。
*腰が反らないよう腹筋をしめながら行ってください。
*ひざに痛みの出る方は中止してください。
*正しいフォームでできていればお尻から裏ももにかけて効いてくるので参考にしてください。
最後に
いかがでしたか?
産後少し経ってから急に膝が痛くなるお母さんは決して少なくありません。
ひどい方は、赤ちゃんを立って抱っこするだけで痛みが出てしまうことも。
膝に痛みが出た場合、まずはできるだけ安静にしていただくことが望ましいのですが、家事に子育てともなると難しいですよね。
しかもどうしても生活していくうえで歩いたり、階段の上り下りがあり、安静を図りづらいのも膝の痛みが長引きやすい原因の1つです。
あまりにも辛い場合は周りの方に協力してもらいきちんと治療に通うことも大切です。
赤ちゃんのお世話で時間が作りにくいかもしれませんが、自分の身体も大切にしてあげてくださいね。