通販などでよく見かける姿勢矯正グッズ。
前回は骨盤矯正ショーツについて分析しました。
それに引き続き、今回は姿勢矯正Tシャツ。
実際に着用してもらった感想をもとに、猫背矯正マイスターの筆者が「本当に効果があるのか」を解説していきます。
猫背のタイプ4つ
姿勢矯正グッズを選ぶ前に必要なのは、自分の姿勢の状態を理解することです。
姿勢矯正Tシャツを試す方は猫背に悩んでいる方が多いと思いますが、当院では猫背を4つのタイプに分けて施術を行っています。
まずはそのタイプのどれに自分が当てはまるか参考にしてみて下さい。
①前肩型猫背
前肩型猫背とは肩が前に出てしまっているタイプを指します。
このタイプの方はあまり背中が丸まらない場合もあるため、自分が猫背であることを自覚していないことがあります。
しかし肩が前に出るということは肩甲骨の位置が悪くなっていることも。
肩甲骨の位置が悪くなると首肩のコリや、背中の痛みや張り感につながります。
また、スポーツなどをやっている場合は肩のケガもしやすくなります。
スマホやパソコンをよく利用する方、裁縫や編み物をする方、子育てや家事なども含め腕を前に出して作業をすることが多い方に見られる傾向があります。
②顔出し型猫背
顔出し型猫背とは横から見たときに顔が前に出てしまっているタイプを指します。
このタイプの方はストレートネックと診断を受けることも多くあり、慢性的な首肩のコリに悩まれる場合も。
また、写真を撮ったときなどに「顔が出てしまう」と気にされる方も多いようです。
③円背型猫背
このタイプが最も猫背のイメージとなっているものではないでしょうか。
背中がグーっと丸まってしまっているような姿勢を指します。
背中が必要以上に丸まってしまうことで肺が膨らみにくくなり息苦しさを訴える方や、仰向けでに寝ようとした際や起床時に背中の痛みが出るのもこのタイプです。
④首無し型猫背
このタイプの猫背は今あげた4つの中でも最も治しにくいです。
横から見た時に首が肩の中に埋没してしまっている状態を指します。
首無し型猫背は肩を巻き込むため肩甲骨の位置が悪いことが多くあります。
また、首と頭の付け根に当たる部分や首周りの多くの筋が付着する外後頭隆起(頭の後ろの出っ張った部分)などがガチガチに硬くなり、頭痛や吐き気など催すことも。
猫背と骨盤
上記では上半身のことについて説明させていただきましたが、ここで忘れてはいけないのが骨盤!!
背中が丸なったり顔が前に出たりなど色々な姿勢の悪さは骨盤の歪みから来ているといっても過言ではないほどです。
脊椎(背骨)の土台となる骨盤が歪めば上も下にも歪みは出てきてしまうのです。
骨盤の歪みは前に傾く前傾
後ろに傾く後傾
それら2つが左右差が出てしまう捻じれがあります。
骨盤の歪みについて詳しく知りたい方は『あなたの骨盤は大丈夫?案外知られていない骨盤の歪み方と対策法』をご覧下さい。
姿勢矯正Tシャツ
実際に当院のスタッフに姿勢矯正Tシャツを着てもらった感想を元にいろいろと分析をしていきたいと思います。
①商品A
“着た直後は、胸が張れたような気がしました。
患者さまの施術中、凝っている部分を前かがみになって体重をかけ強く押すような動作をしたのですが、その時にはとても呼吸がしづらくなりました。
30分が経過した頃、息が浅くなっていたためか、少し酸欠のような感じになってしまいました。
45分が経過した頃、みぞおち付近に圧迫感を覚え始めました。
60分経過した頃には、吐き気を催しTシャツを脱ぎました。”
このような意見をもらいました。
では一体なぜ、胸を張らせただけでこんなにも吐き気を催し、1時間で脱いでしまうほど苦しくなってしまったのでしょうか。
それは、このスタッフの猫背タイプが「前肩型猫背」だったからだと考えられます。
前肩型猫背とは、先ほど説明した通り肩が前に出てしまうタイプ。
みなさんはそもそもなぜ肩が前に出てしまうという姿勢が作られると思いますか?
生まれつきではないですよね。
答えは、大胸筋という肩を前に出す筋肉がグッと短縮してしまうことがそもそもの原因なのです。
となると、その短縮してしまった原因の筋肉を緩ませてあげないと姿勢の改善には繋がらないと思いませんか?
つまり今回は、前肩型タイプであるスタッフの大胸筋に、なんのアプローチをかけることもなく無理に胸を張らせるような形になってしまったのです。
そうなると肺が膨らみにくくなり、息がしにくくなってしまうのです。
また、”前かがみになって体重をかけ強く押す動作をすることがあったのですが、とても呼吸がしづらくなりました”とあります。
これは胸を張らせようと作られたTシャツに対して、前かがみになるという逆の動作を行おうとした結果、胸をグッと締め付けられるような状態になってしまったのですね。
そしてもう1つ、忘れてはならない大切なことがあります。
それが骨盤。
写真を見ていただければわかると思いますが、着用前と着用後だと着用後のほうが骨盤が前に傾き腰が反ってしまっていませんか?
無理に胸を反らせようとすると自然と骨盤は前傾位になり腰は反ってしまうのです。
先に話した通り骨盤は脊椎(背骨)の土台。
この土台を歪ませるような状態を作ってしまっては、姿勢に悪影響を及ぼす可能性があります。
②商品B
“着た瞬間から胸を強制的に開かされている感じがした。
さらに呼吸をしようとすると、息を吐くことができにくく苦しかった。
また、着用後すぐに吐き気を催し5分ほどで脱いでしまった。”
写真を見てみると①のものより、胸が張れていますね。
しかしこれも先ほど話した通り、大胸筋はガチガチに固まっている状態のまま①よりも強制的にに胸を張らせるように作られていては息苦しさは①以上でしょう。
そのため、着用後すぐに吐き気を催して脱いでしまったのだと考えられます。
骨盤を見てみても、やはり骨盤は前傾し腰が反ってしまっていますよね。
お腹も強く締め付けることで腹圧を高めて骨盤を正しい位置に持っていきたいのかもしれませんが、これだとただただ苦しさを増しているだけのように感じます。
最後に
いかがでしたか?
たしかに猫背というと背中が丸まっているイメージがあるため「胸を張らなくちゃ!」と感じる方も多いと思います。
姿勢矯正Tシャツも、そのような考えから作られているようです。
しかし、背中が丸まってしまっている原因を取り除かず無理に胸を張ろうとすれば、逆に肩が凝ってしまったり背中が痛くなってしまったりします。
また、上半身をどうにかしたところで土台となる骨盤を正さなくては猫背は良くならないのです。
無理に力を入れて正しい姿勢を取ろうとするのではなく、まずは原因となっている筋肉を緩めるためのストレッチなどで身体の柔軟性を高めることから始めてみてはいかがでしょうか。
骨盤の歪みに対するストレッチは、『あなたの骨盤は大丈夫?案外知られてない骨盤の歪み方と対策法』を参考にしてみてください!
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