五十肩など肩の疾患や、スポーツでの怪我が原因で肩に痛みが出ることってありますよね。
それらの痛みの原因は様々ありますが、実は姿勢が悪いことで痛めやすくなっていたりするのです。
肩関節の構造
肩関節(いわゆる一般的に肩と言われる肩甲上腕関節)は肩甲骨と上腕骨によって作られます。
肩甲骨には関節窩というお皿のようなくぼみがあり、そこに上腕骨の上腕骨頭と呼ばれる丸くなっている部分がはまります。
肩関節は他の関節に比べて大きく動かせるので、関節自体はとても外れやすく不安定です。
そのため関節唇という軟骨組織や、ローテーターカフなどのインナーマッスル、靭帯などによって補強されています。
肩関節はさまざまな部分で動きが悪くなることがあります。
例えば、肩甲骨は肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節、肩鎖関節3つの関節を作ります。
肩甲骨にはたくさんの筋肉が色々な角度からついてきます。
頚、上腕骨、肋骨、胸椎(背骨の胸の部分)、後頭骨からなど様々です。
つまりこれらの筋肉のどこか一つでも凝り固まってしまうと肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の動きにも影響が出てきてしまうのです。
また肩関節は腕の重さもいつも支えています。
みなさんは腕の重さがどれくらいあるかご存知ですか。
もちろん筋肉の量などで個人差はありますが、腕の重さは体重50㎏の人だと3~4㎏あると言われています。
肩を痛めやすい姿勢とは
肩関節の動きにはいくつかの骨やたくさんの筋肉や靭帯などが関わっているということは分かって頂けたかと思います。
そして実はそれらの骨や筋肉、靭帯には負担のかかりやすい姿勢があるのです。
それは前肩型猫背です。
我々は猫背を前肩型猫背・顔出し型猫背・円背型猫背・首無し型猫背の4つに分けて考えています。
その中でも特に前肩型猫背が肩関節に負担がかかりやすい姿勢となっています。
前肩型猫背
ではいったい前肩型猫背とはどんな姿勢を言うのでしょうか。
前肩型猫背とは
『肩が前方へ突き出ている猫背』です。
このタイプの猫背は、
・肩の関節を構成する腕の骨が前に飛び出しているのか
・肩甲骨も巻き込んで前に飛び出しているのか
の2つのタイプに分かれます。
そもそもの姿勢が肩関節に負担がかかりやすくなってしまっていたら、野球やバドミントンなど肩に負担のかかるスポーツや、
デスクワークなどの肩が前に入りやすい姿勢を長時間しなくてはいけない仕事をしているとどんどん負担は大きくなります。
その結果として些細なことで肩の様々な疾患に繋がりやすくなってしまうのです。
肩を痛めた方からよく聞くのは、
「腕を下におろしているのが辛い。」
といった話です。
そう、肩を痛めると場合によっては3~4㎏ある腕を支えるのが辛くなってしまうこともあるのです。
前肩型猫背を治すために
前肩型猫背の場合、胸にある大胸筋が硬くなって肩が前に引っ張られてしまっています。
そしてそのせいで肩甲骨の動きが悪くなってしまっています。
大胸筋とは、胸の真ん中にある胸骨・鎖骨・肋軟骨・腹直筋鞘から始まり、腕の外側にある大結節に終わります。
役割は、腕を内にひねる(内旋)・腕を身体に近づける(外転)・腕を横から前にする(水平内転)・腕を前から上にあげる際の最初(屈曲初期)をしています。
また肩甲骨は内転・外転・挙上・下制・上方回旋・下方回旋といったたくさんの動かし方があります。
今回はそんな大胸筋を緩めていくストレッチと、肩甲骨の動きを良くするストレッチをご紹介します。
大胸筋のストレッチ
1.まず壁を横に立ち、腕から肘を壁に当てます。
2.肘から手は壁に付いたまま身体を外に捻ります。
3.腕の高さを変えて一番伸びる場所を探して下さい。
のびる位置が見つけられたらそのままキープで30秒です。
これを左右行ってください。
肩甲骨のストレッチ
1.大きく背中から動かすように内回しに10回
2.大きく背中から動かすように外回しに10回
肩甲骨には先にもご説明した通りたくさんの筋肉がついています。
そのため、肩甲骨をしっかり動かしてあげるだけでついている筋肉はストレッチがかかります。
小さく速く動かすよりも、大きくゆっくりと動かすことを意識してください。
最後に
いかがでしたか。
肩を痛めて「腕の重さを支えるのが辛い・・・」なんてことには皆さんなりたくないと思います。
まだ痛めた経験のない方も、以前になってしまった方も含め、このさき肩を痛めないようにするために大切なのは予防です。
怪我や体調や他のどんなことも起こる前が重要です。
予防をしておけば起こる可能性を低くするだけでなく、なってしまったとしても軽くてすむことも。
1日数分でできるストレッチを行って、痛みにたえながら生活するのではなく元気に楽しく過ごしていきましょう!