夏のスポーツとケガ
この時期は、いろいろなスポーツの大会も多く、
例えば先日の世界卓球の盛り上がりとメダルラッシュは皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。
そして、これから迎える夏!
高校野球が盛り上がる季節の到来です。
球児たちが甲子園を目指し、全国各地で熱い戦いを繰り広げていきます。
全力でプレーする姿に、ついつい目も心も奪われて応援してしまいますが、
そんな表舞台とは裏腹に、スポーツ障害で苦しむ選手の存在も……。
特に、投手などは一球投げるごとに筋肉の線維をすり減らして投げているので、
スポーツ障害で苦しむ選手が多くいます。
中でも多いのが、【野球肘】。
これは、小学生・中学生などで多く発症する疾患ですが、
簡単に言うと、【肘に過度な負担がかかることによって起こる肘の痛み】です。
痛みの出ている場所・肘関節の状態・骨の変形などにより詳しい名前は異なりますが、
プロ野球選手でも、桑田真澄・松坂大輔・ダルビッシュ有などが患ったことがある、
一般的にも有名な疾患です。
しっかり治療を行っていけば治るものですが、
放置したままプレーを続けていくと、今後の野球人生に大きく影響が出ます。
この肘の痛みで治療院に来院する野球少年が多くいますが、
実は、この野球肘の原因として多いのが『猫背』!
姿勢が野球肘に大きく関与しているのです。
今回から2回に分けて、その理由や対処法をお伝えしていきたいと思います。
野球肘と猫背
まず、野球肘と猫背の関わりは、以下の3つ。
①胸椎の伸展運動
②股関節の柔軟性
③臀部の筋力低下
今回は、その中でも
①胸椎の伸展運動についてお伝えしていきます。
胸椎の伸展運動とは、簡単に言うと、〔胸を反らす動き〕の事です。
投球動作は、大きく分けると
・ワインドアップ期
・コックアップ期
・アクセラレーション期
・フォロースルー期
の4つがあります。
今回、胸椎の伸展運動と関りが深いのがアクセラレーション期。
アクセラレーション期とは、右投げの投手の場合で考えると、
左足が地面について、身体を捻り腕を前に持ってきて、ボールを投げるまでの動作の事です。
この時、下の写真のように体が沈み込むのが通常。
しかし、猫背になり背中が丸くなると身体の沈み込みが浅くなり、目線も下がってしまいます。
そうなると、肘が身体から離れてしまい腕の力で投げなければなりません。
そのため腕に過度な負荷がかかり、肘も腕の一部なので、野球肘になってしまうという訳です。
逆を言えば、背中の丸まりがなくしっかり胸椎の伸展運動が出来れば、
肘への負担を減らすことが出来ます。
これが、猫背が野球肘の原因である理由①です。
次回は予防策についてお伝えしていくので、続きをお楽しみに!