あなたは『スマホ肘』という言葉を聞いたことがありますか?
近年、スマホやタブレットの普及により急増しているのがこの『スマホ肘』。
指や手首の使い過ぎでおこる『スマホ肘』とは一体なんなのか!
今回は『スマホ肘』について、また予防策をお伝え致します。
スマホ肘とは?
スマホ肘は、肘の外側が痛くなる上腕骨外側上顆炎と、肘の内側が痛くなる上腕骨内側上顆炎にわかれます。
スマホ肘の大多数は外側が痛くなる上腕骨外側上顆炎が占めているようです。
①上腕骨外側上顆炎
みなさんは『テニス肘』を聞いたことはありますか?
その名の通り、テニスをやっている方によくみられる肘の痛みです。
テニス肘の正式名称がこの上腕骨外側上顆炎です。
上腕骨外側上顆炎は前腕(肘下)にある、手首や指を後ろに引くための伸筋群のオーバーユース(使いすぎ)が大きな原因の一つとして考えられています。
この前腕の伸筋群は肘関節の外側にある外側上顆から始まります。
人間の身体は伸筋群より、身体を丸めたり、膝や肘・指をまげたりする屈筋群が強く働きます。
そのため、伸筋群を使うテニスのバックハンドは負担がかかりやすく、伸筋群の始まりである外側上顆への痛みに繋がってしまうのです。
②上腕骨内側上顆炎
こちらはゴルフをされる方に多くみられるため、通称『ゴルフ肘』と呼ばれます。
上腕骨内側上顆炎は、その名の通り肘の内側にある内側上顆に炎症を起こし痛みが出ます。
この内側上顆からは、手首や指をまげるための屈筋群がはじまります。
こちらも同様にオーバーユースが大きな原因となります。
しかし先ほど説明した通り、人間の身体は伸ばすための伸筋群より、曲げるための屈筋群のほうが強くできているので内側上顆炎より外側上顆炎のほうが圧倒的に罹患率は多いと言われています。
スマホ肘の原因は?
「でもスマートフォンを操作していただけでテニスと同じくらいの負担がかかってしまうの?」
上記の内容を見て、そのように感じた方もいるのではないでしょうか?
確かにスマートフォンの操作をしていて、大きく手首や指を動かすこともなければ、テニスのような強い衝撃が加わることもありません。
ではなぜ肘が痛くなってしまうのか・・・
実は、スマートフォンを操作しているときの小さな負担も長時間続けば痛みに繋がるほどの大きな負担になっていってしまうのです。
スマートフォンの形状が人間の手に対して少し幅の広いものであるということも負担をかける要因の1つに。
また、このように手首に対して小指側に傾ける状態が続くと、尺側手根屈筋が緊張し続けるのに加え、親指側にある長母指外転筋や短母指伸筋が伸ばされてかなりの負担が手首にかかります。
この状態で親指をメインにスマートフォンを操作し続けることで前腕(肘下)の伸筋群に負担がかかってしまうのです。
しかも、スマートフォンの場合、長い方だと毎日数時間操作しますよね。
その小さな積み重ねがテニスやゴルフをするのと同じくらいの大きな負担となってしまうことがあるのです。
スマホ肘のチェック法
上腕骨外側上顆炎
トムゼンテスト(右の場合)
①右肘を伸ばし手のひらを下に向けた状態で腕を身体の前に出します。
②左手で右手の甲を抑えます。
③左手には下に押すように力を入れ、それに抵抗するように右手を上にあげます。(手首のみ)
中指伸展テスト(右の場合)
①右ひじを伸ばし、手のひらを下に向けた状態で腕を身体の前に出します。
②左手で右手の中指をつかみます。
③左手は下に力を入れ、それに抵抗するように右手の中指を上にあげます。
上腕骨内側上顆炎
リストフレクションテスト(右の場合)
①右ひじを伸ばし手のひらを上に向けた状態で腕を身体の前に出します。
②左手で右手のひらを抑えます。
③左手に抵抗するように右手に力を入れます。
フォアアームプロネーションテスト
①右ひじを伸ばし手のひらを上に向けた状態で腕を身体の前に出します。
②そのまま手をグーの形にします。
③左手で右手を抑えます。
④右手は内側に返そうとするのに対し、左手は抵抗をかけます。
これらのテストを行い、肘に痛みの出た方は要注意。
スマホ肘の可能性があります。
対策法・予防法
「スマホ肘」のような使いすぎにより起こる疾患に関してはきちんと疲労抜きをすることが大切になってきます。
伸筋群のストレッチ
①肘を伸ばし手のひらを下にした状態で腕を身体の前に出します。
②反対の手で手首を下に押し下げます。
屈筋群のストレッチ
①肘を伸ばし手のひらを上にした状態で腕を身体の前に出します。
③反対の手で手首を下に押し下げます。
最後に
知らず知らずのうちにかなりの負担がかかっているスマートフォンの操作。
まさかこの肘の痛みの原因がスマートフォンだったなんて?!
と驚かれた方もいるのではないでしょうか。
肘の痛みはスマホ肘に限らず治りにくい場合が多くあります。
なぜなら肘や手首をを使わずに生活をするのって難しいですよね?
安静をしっかりと取れない部位に関しては、それだけ治りも遅くなってしまうのです。
初めは軽い痛みかもしれませんが放っておくと手に力が入りにくくなってしまったり、手首の動作や肘の曲げ伸ばしが痛くてできないなどの症状に繋がることも。
まだ痛みの出ていない方や、症状が軽い時点でこの記事を読まれた方はラッキーです!
今のうちからきちんとケアを行うようにして下さい!
もし、痛みが強く出てしまっている方はご自身のケアだけでは改善しにくい状態かもしれません。
我慢せずきちんと専門機関に受診して治療を行うようにしましょう。