あなたは、熱中症と脱水症を混同してはいませんか?
熱中症と脱水症はとても深く関係していますが、同じ意味というわけではありません。
今回は「脱水症」についてご説明したいと思います。
熱中症についてはこちらの記事をご覧ください。
脱水症とは
脱水症とは、身体の中の体液が減ってしまっている状態を指します。
それに対し、熱中症とは暑い環境下で起こる身体の健康障害の総称です。
つまり脱水症は熱中症と併発することがあるだけで、暑いときだけでなく寒いときにも起こりうるのです。
脱水症には、以下の3つに分けられます。
体液の水分だけがなくなる高張性脱水
身体のナトリウムがなくなる低張性脱水
水もナトリウムもどちらもなくなる等張性脱水
それぞれ詳しくみてみましょう。
高張性脱水
水分が多く失われる脱水を、高張性脱水といいます。
汗をかいて、のどが渇くのはこの高張性脱水の場合が多いです。
口腔などの粘膜も乾燥します。
水分をあまり摂らなかったり、味が濃いものばかりを食べていると起こる可能性があります。
のどが渇いたからと言って、コーヒーなどのカフェイン飲料や、アルコール類を飲んでも、それらは利尿作用が強いため、水分を補給したことにはなりません。
また、高齢の方はトイレを気にして、水分の摂取を控える方も多いため特に注意が必要です。
低張性脱水
電解質であるナトリウムが多く失われる、電解質欠乏性の脱水を低張性脱水といいます。
汗をかいたり、下痢や嘔吐などで失われた体液に対し、水ばかり飲んで身体の中のナトリウム(電解質)が著しく薄まってしまうと起こります。
のどの渇き、皮膚・粘膜の乾燥も少ないため、初期には自覚症状が少ないと言われています。
スポーツなどで汗をかいた後に、ナトリウムが入っていない水やお茶を飲んでいる方は注意が必要です。
等張性脱水
ナトリウムも水分もほぼ同じ割合で減った脱水を、等張性脱水といいます。
高張性脱水と同様に、のどが渇きます。
下痢や嘔吐、多量の出血、火傷などで一気に体液が失われることで起こります。
この状態で水分を補給すると、低張性脱水に変化することがあります。
脱水症の症状
水分が不足すると
非常にのどが渇き、尿量が減ります。
集中力の低下、倦怠感、食欲の低下、めまい、吐き気などの症状が出てきます。
乳幼児や高齢者の場合、ぐったりしている、遊びたがらない、寝たまま起きない、笑わない、顔色が悪いなども目安になるでしょう。
重症化すると、幻覚、うまく言葉が話せない、精神的に不安定になることもあり、最終的には死に至ることもあります。
ナトリウムが不足すると
体内に蓄えていたナトリウムを使うことになるため、身体もナトリウムを節約しようとし活動ペースを落とそうとします。
具体的には、体内の水分量、血液、消化液を減らそうとして、それらが身体の不調となって様々な症状を引き起こします。
またナトリウム不足の場合は、基本的にのどはあまり乾きません。
筋肉への影響も出るため、身体が動かしにくくなったり、痺れ、震え、足がつることもあります。
倦怠感や食欲低下に加え、悪化すると昏睡状態に陥って死に至ることも。
特にスポーツなどで多量の汗をかいた時は、注意が必要です。
脱水症の予防
先述した通り、脱水症には種類があります。
水分が減る場合と、ナトリウムが減る場合とではもちろん予防法も変わってきます。
しかし共通して言えるのは、例えのどが渇いていなくてもこまめな水分補給を心がけていただきたいということです。
高張性脱水も等張性脱水も、のどが渇くという症状がありますが、それはつまり、のどが乾いてから水分補給をしても手遅れになる場合があるということです。
のどが渇いてから大量に飲むのではなく、のどの渇きを感じる前にこまめに少量ずつ水分補給を行うようにしてください。
また、飲料水はナトリウム入りのスポーツ飲料を選ぶようにしましょう。
一般的にナトリウム入りスポーツ飲料には、糖分も含まれており、ナトリウムの吸収を早めてくれる作用があります。
水を飲んでるから大丈夫!と安心しているあなたはとても危険です。
低張性脱水は、ナトリウムの入っていない飲料水をたくさん飲みすぎることによって引き起こされます。
コーヒーなどのカフェイン飲料や、アルコール類も利尿作用が強いため、水分を補給したことにはなりません。
乳幼児や高齢者は、特にこまめに水分補給をするよう心がけましょう。
脱水症と冬
脱水症は熱中症と併発しやすいため、夏に発症するイメージが強いかと思います。
しかし、実は冬も脱水症を起こしやすいことをご存知ですか?
冬は乾燥するため、ウイルスが増えますよね。
代表的なのは、ノロウイルスやインフルエンザウイルスです。
ノロウイルスは、下痢と嘔吐を症状とするウイルス感染症です。
下痢や嘔吐は、水分とナトリウムを失いがちです。
症状が強いときは、一度に多く水分補給をしようとすると、すぐに嘔吐してしまうこともあるため、より脱水を起こしやすくなります。
インフルエンザは下痢、嘔吐に加え高熱が出ます。
高熱を出すと大量に汗をかきます。
汗をかくことで水分とナトリウムを失うため、脱水症を起こしやすくなるのです。
また、冬は夏に比べて汗はかきにくくなりますよね。
しかし、私たちの身体は気付かないうちに、呼吸や皮膚から水分が出ています。
夏は暑いうえに汗をかくため、水分補給を意識するようになりますが、冬は忘れがちです。
それにより冬は「実は脱水になっていた」ということが起こりやすいのです。
最後に
いかがでしたか。
「水を飲んでおけば脱水にはならないから大丈夫!」
と安心するのは禁物です。
「脱水症」と漢字だけ見ると水だけがなくなっているように感じますが、ナトリウムも減っている場合もあるのです。
水分補給をただ行うのではなく、何を飲むかも注意するようにしてください。
熱中症とは違い、暑い夏も寒い冬も起こしやすいのが脱水症です。
きちんと予防して元気よく乗り切りましょう!